○●雨色ドレス●○
父ちゃんとのやり取りに面倒くさくなった僕は、適当に受け流し、電話を切った。
「……よし、母ちゃんにメールするか」
寮の契約期間が切れたと嘘をつき、僕は母ちゃんにメールを書いた。
「なので、今からそちらに帰ります、っと。よし、送信」
そして5分もしないうちに母ちゃんから返信が届いた。
『いーよー(@_@#)』
こっ怖っ!……とりあえず、実家に帰ったらまず母ちゃんに顔文字の使い方を教えてあげようかな。
僕は携帯をパタンと閉じてカバンに放り投げて、新宿駅の人混みを脱力感たっぷりにすり抜けた。