○●雨色ドレス●○
「あはは! お前ウケるー! つうか下の名前は? あたし名字で呼ぶの苦手なんだよね」

てか名前呼ばなくていいですから! 僕達きっともう関わることないと思いますし。

「け、健太です」

しかし僕は従順な飼い犬のように自分の名前を名乗った。

「よーし。じゃあお前は今日からケンケンな。あはは、つうかケンケン童顔だね。年はいくつ? つーか昔飼ってたハムスターに似てるしー! 」

あー、勝手に変なあだ名付けられちゃったよ。てかこのユウって子、思ったより……話しやすい。

僕の中のギャル像ってのは

「ガン飛ばし」
「自己中」
「すぐにキレる」

の三拍子だった。けど、この子は案外話してみると普通かもしれない。


「あっ、そのピアス」


「えっ? ああこれですか?」

「ダニーキャット。あたしもだよー」

ユウは痛んだ髪の毛をかきあげて、 左耳を大胆に見せた。ザッと見て片耳だけで5個は開けている。その中で極めて目立つピアスが、ユウの言うダニーキャットのピアスだ。

十円玉位の大きさの黒いハートの中に、ダニーキャットのロゴが書かれている。もし僕が女の子だったら即買いだ。

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