○●雨色ドレス●○
「えっ、いいよ」
「えっ、いいの!?」
桜山公園、ケバブ広場(僕が勝手にネーミング)にて。
ユウがレモンシャーベットにかじりつきながらあっけらかんと答えた。隣では暑苦しくも回る肉をヒゲモジャが器用に削いでいる。
「ぴっ、ピーターパンだよ?」
「ああ、あたしミュージカルとか別にきょーみないけどさぁ、暇つぶしになるし。ケンケン面白いし」
「は、はぁ」
思わぬ答えが返ってきて、僕は動揺が隠しきれずに買ったばっかのアップルサイダーを地面に落とす。
その様子を見てユウはいつも通り大口を開けて笑っていた。
「トーキョー国際フォーラム……どこだよ」
「いっ行き方なら僕分かるよ」
「あっ、もしかしてケンケン車持ち!?」
「いやチャリしか……」
「けっ」
「うぅ、ゴメンナサイ」
「あはは嘘うそ! あたし車あんま好きじゃないし、つーかあたしと一緒にドライブとか10年はえーし!」
「はいはい。じゃあ明日の10時に日野駅前で待ち合わせね」
「はーい!」
太陽の下で笑うユウ。
今日はレモンシャーベットよりも鮮やかな黄色いハイヒールを履いてるね。
ああ
まだこの時は何も知らなかったんだ。強い日差しでよく見えなかったのかもしれない。
本当はユウが、そんな一つ一つの仕草の裏側で、膝を抱えて泣いていたなんて。
「えっ、いいの!?」
桜山公園、ケバブ広場(僕が勝手にネーミング)にて。
ユウがレモンシャーベットにかじりつきながらあっけらかんと答えた。隣では暑苦しくも回る肉をヒゲモジャが器用に削いでいる。
「ぴっ、ピーターパンだよ?」
「ああ、あたしミュージカルとか別にきょーみないけどさぁ、暇つぶしになるし。ケンケン面白いし」
「は、はぁ」
思わぬ答えが返ってきて、僕は動揺が隠しきれずに買ったばっかのアップルサイダーを地面に落とす。
その様子を見てユウはいつも通り大口を開けて笑っていた。
「トーキョー国際フォーラム……どこだよ」
「いっ行き方なら僕分かるよ」
「あっ、もしかしてケンケン車持ち!?」
「いやチャリしか……」
「けっ」
「うぅ、ゴメンナサイ」
「あはは嘘うそ! あたし車あんま好きじゃないし、つーかあたしと一緒にドライブとか10年はえーし!」
「はいはい。じゃあ明日の10時に日野駅前で待ち合わせね」
「はーい!」
太陽の下で笑うユウ。
今日はレモンシャーベットよりも鮮やかな黄色いハイヒールを履いてるね。
ああ
まだこの時は何も知らなかったんだ。強い日差しでよく見えなかったのかもしれない。
本当はユウが、そんな一つ一つの仕草の裏側で、膝を抱えて泣いていたなんて。