○●雨色ドレス●○
「おっ、お待たせしましたぁ」

僕とユウの、チワワも怯えない痴話喧嘩の間に入ったのは、さっき注文をとったウェイトレスだった。コーラフロートとオレンジジュースを丁寧にテーブルに置く。




「バカケンケン、店員笑ってたじゃんかー」

その後も、僕とユウはくだらない話で盛り上がりつつも、からっぽのお腹をイタリアンで満たし(ご丁寧にもユウはキャラメルジェラートを追加注文して)、お会計は……………………………

えっ!?



「どうしたのケンケン」

「いや、お金足りなくて……」

僕は小声でユウに言った。

「はあ!? 足りないって……仕方ない。すいませんカード使えますか?」


「あっ、はい」


えっ? 
ユウって確か18歳だよな……もうカード持ってるんだ。

なんておませさんなんだ!

「お手数ですが、こちらにご署名をお願いいたします」

「はい。あっ、ケンケン先に外出てていーよ」

「あっ、はいい」




なんだかなぁ


たまにチラチラ見えるんだよなぁ。




ユウじゃないユウが。




…………まぁまだ今日で会って4回目くらいだし、大してユウを知ってるってわけじゃないんだけどさ。


だけどさ……
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