○●雨色ドレス●○
僕はさっさとキオスクの前から立ち去り、ホームの端まで素早く移動した。


「ここまでくれば一安心だな」


周りには、サラリーマンの中年男と2つ結びの中学生だけ。

僕が逃げてきたキオスクの前にはまだあの女がいて、まだ柱をゲシゲシ蹴りまくっていた。(あー、柱に生まれてこなくて良かった!)
 
 
全く、いつからこの国にあいつらギャル族が生まれたんだ。渋谷センター街に行くくらいなら僕は真っ先に監獄を選ぶ。
 
女の子だったら髪の毛は淡いブラウンでセミロングで、加工したデニムスカートにオーバーニーでキャミとTシャツの重ね着だよなぁ……ってこれ真弓が良くデートに着てきた服装じゃんか。
 
もう忘れるんだ健太!
あんな女……あんな、あんな……あんなぁぁ!!!
 
 
僕は頭をうごめく悲しすぎるくらい楽しかった思い出を全て押し流すように、コーヒーを一気に飲み干した。
 
 
『只今、神田駅にて救出作業が完了しました。皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。まもなく……――』
 
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