○●雨色ドレス●○
コンビニ脇、外はまだ昼間もいいところで、チラホラと人の目も気になる中。

「アキバちゃんれーぃす。今年で24歳の職業はデザイナーさんなのれーす!」

トモコは酒たれオヤジのごとく気持ちよく酔いつぶれ、さっきから何度も壁に衝突しては文句を言っている。


僕はとにかくこの最悪な酔いをさますために、ミネラルウォーターをトモコに手渡した。

だけどトモコはそれを受け取らず、何も言わずに僕の顔をまじまじと見つめてる。

「飲みなって、ほら」

「相変わらずだね」

トモコがフフっと笑みをこぼす。いままで僕に見せなかった“大人”な笑顔だ。


「あーあ、ケンケンの顔みてたら酔いも覚めちゃったよ」

「なっ」

「ごめんね、昨日。あの人ねあたしの職場の先輩。千代子だからチョコ先輩」

「……」


「ねぇ、ケンケン怒ってる?」

僕は黙ったまま首を横に振る。

トモコは少し間をあけて言葉を続けた。


「もう分かってると思うけど、あたしユウじゃないんだ」


「知ってる。ある程度は……チバから聞いたよ。婚約者の事とか」


「そっか……ユウちゃんの事も?」

「ユウちゃん?」


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