○●雨色ドレス●○
「あたしの妹。ちっちゃくて可愛いんだぁ。あたしとユウってね、双子じゃないのにめちゃくちゃ瓜二つでさ、まぁ人付き合いとかそういうのはユウのが上手だけどね」


嬉しそうに妹・ユウについて語るトモコを見て、言わずとも好きか嫌いかは判断がついた。

「その……なんで妹さんの格好とか真似たりしてたの?」

僕がそう質問すると、トモコは小さく何かを思い出したかのように笑って、答えた。

「前にね、約束したの。“あたしは今日からユウちゃんになるから”って。だから……ううっ」

「トモコさん!?」

トモコはそのまま、声を押し殺すように泣き崩れた。コンクリートの地面に涙の跡がぽつんぽつんと落ちてる。


「大丈夫? その、無理しなくていいから。ごめん、なんか変な質問しちゃったね」

僕はトモコの背中をさすりながら、今、目の前で肩を震わせて泣いているこの女があの『ユウ』だなんて、やっぱり簡単には飲み込めなかった。


「ごめん、やっぱりまだ話せない……その」

「ううん、いいよ。気持ちが落ち着いてからで」

「ケンケン……やっぱあんたさ、いい奴だよね」

「どーも」


「だから好きになっちゃったのかな」





……………えっ?
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