○●雨色ドレス●○
「なーんてね」
トモコが、笑う。まだ泣いたばかりで真っ赤な目を、こすりながら。
「なっ……」
「実はさ、たまたまなの。今朝ケンケンがここのコンビニ入るの見て。その時話かけようとしたけど、なかなか踏み出せなくて」
「……うん」
「シラフじゃ無理だし、だからお酒たーくさん飲んでさ。……ケンケン、あたしこのままケンケンの側にいたら甘えちゃうし、弱くなっちゃう」
「そんなこと」
「あたしさ、ドレス作る仕事に憧れてスリーズに入って……でも色々あってぜーんぶ嫌になっちゃってさぁ、抜け出してきたの。人も信頼も仕事も友人も家族も全部投げ捨てて。いや、捨てられたのはあたしなのかも」
そう言いながら、薄く笑顔を浮かべるトモコがまた泣き出しそうになって、僕はトモコの手を握った。
「あたししばらく仕事に没頭するから。明日から千代子先輩の家に住まわせてもらうことになったの。だからね……踏ん切りがつくまでケンケンとはサヨナラする」
トモコが、笑う。まだ泣いたばかりで真っ赤な目を、こすりながら。
「なっ……」
「実はさ、たまたまなの。今朝ケンケンがここのコンビニ入るの見て。その時話かけようとしたけど、なかなか踏み出せなくて」
「……うん」
「シラフじゃ無理だし、だからお酒たーくさん飲んでさ。……ケンケン、あたしこのままケンケンの側にいたら甘えちゃうし、弱くなっちゃう」
「そんなこと」
「あたしさ、ドレス作る仕事に憧れてスリーズに入って……でも色々あってぜーんぶ嫌になっちゃってさぁ、抜け出してきたの。人も信頼も仕事も友人も家族も全部投げ捨てて。いや、捨てられたのはあたしなのかも」
そう言いながら、薄く笑顔を浮かべるトモコがまた泣き出しそうになって、僕はトモコの手を握った。
「あたししばらく仕事に没頭するから。明日から千代子先輩の家に住まわせてもらうことになったの。だからね……踏ん切りがつくまでケンケンとはサヨナラする」