森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
「どうしたの、ミハウ」

 食堂へ入ってきたのは、ぱっと見はエディにそっくりな、でもよく見ると彼女よりも儚げな薄幸の少女だった。

 エディが「ミハウ」と呼んだ少女は、白い頰をほんのりと赤らめて嬉しそうに微笑む。まるで、初恋の君を陰からそっと愛でる、乙女のように。

 少女の名前は、ミハウ・ヴィリニュス。

 ヴィリニュス家の次男坊であり、エディの双子の弟だ。

 エディと同じくすんだ灰茶色の髪は、男装する彼女の代わりかのように長く伸ばされ、リボンで結われている。

「ロスティの大使館から、手紙が届いているよ」

 ミハウの細い手が、エディに手紙を差し出してきた。
< 109 / 390 >

この作品をシェア

pagetop