森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
(手紙を渡しに来るぐらいなら、ベッドで寝ていれば良いのに)

 弟のミハウは、生まれつき体が弱い。

 冗談で両親は「お腹の中でエディタがミハウの分の免疫力を取っちゃったのかもしれないね」なんて言うけれど、実は本当なんじゃないかとエディは思っている。

 幼い頃は、軽い風邪を拗らせて死の淵を彷徨ったことさえあるのだ。

 体が強かったエディは、体の弱いミハウに両親を取られる形になったけれど、優しい祖母がいてくれたおかげで卑屈になることもなかった。

 それどころか、体が弱いせいで過保護な親が部屋から出してくれないと泣くミハウのために、時折『とりかえっこ』してあげたこともある。

 とりかえっこ。

 それは、エディがミハウの格好をして、ミハウがエディの格好をする遊びだ。

 まだ女の子だった頃のエディと、男の子のわりに線が細いミハウは、まるで一卵性双生児のようによく似ていた。
< 112 / 390 >

この作品をシェア

pagetop