森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 素っ気ない返答に、リディアはにんじんみたいな橙色の髪を振り乱してわぁわぁ騒いだ。

「醜男と結婚なんて、嫌よ。私は美形としか結婚しないんだから!」

「ねぇ。僕の声、聞いている?」

 いつか、トルトルニアを旅立って世界各国の美男子(イケメン)を探し歩き、コレと決めた美男子と結婚するのがリディアの野望である。

 たとえ彼女が、田舎娘丸出しの泥にんじんのような見た目でも、磨けばなんとやらになると本人は心から思っていた。

(まぁ、可愛いか可愛くないかだったら、可愛いの部類には入るか)

 トルトルニアの男たちがこっそり作っている、【お嫁さんにしたいトルトルニアの女性】ベスト10くらいには入るだろう。

 残念ながら、この小さな村に結婚適齢期の独身女性は10人もいないのだけれど。
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