森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
「だが、ここへ来るのは初めてだな」

 遠くからは、数えきれないくらい見てきた。

 しかし、こうしていざ訪問するとなると緊張する。

 目の前の扉はロキースの背よりも小さいはずなのに、大きく感じた。

 まるで、ロキースの訪れを拒んでいるようにも見えて、つい怖気付く。

 何度も深呼吸して、それでも落ち着かなくて。何度も身支度をチェックしては帰ろうと踵を返してみたり。

 なかなかに不審者めいた行動をしていたロキースだったが、やっぱり約束しているのだからと思い切ってドアノッカーを叩いた。

 コンコンコンッ。

 軽く叩いたつもりだったのに、やけに耳につく。

 もっと軽く叩けば良かったかと心配していたら、中から少女が出てきた。
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