森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 じゃあロキースが何かしたのかと彼を見ても、いぶかしげな顔をして、背後の窓を振り向いている。

 もちろん、外には何もない。

 まさか、エディの不意打ちのような色っぽい仕草に発情した熊が、生唾を呑み込んでいたなんて思いもしない彼女は、おかしいなぁと言いつつ二枚目のクッキーに手を伸ばした。

「そうだ。蜂蜜もある。好きなだけ、使え」

 そう言って、ロキースは蜂蜜の瓶を二つ取り出した。一つはエディへ、もう一つは自分へ。

 嬉しそうに鼻歌を口ずさみながら、彼は紅茶に蜂蜜をたっぷり落とす。

 ロキースは、ソワソワしながらこっそりエディを見つめた。

 早く蜂蜜を使ってくれないかな、また指についたりしたら舐めるのだろうか、なんて不埒な思惑が見え隠れしている。
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