森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 特別なことでもない。

 そう言いながらも、ロキースの耳はピンとしている。

 エディのなんでもないような褒め言葉が、嬉しかったらしい。

 目は口ほどに物を言うという(ことわざ)があるが、ロキースの場合は目より耳に出やすい。

 ピョコピョコ、ピルピル。彼の耳は、器用に動く。

「いるけど……ずっと使っている人はいないんじゃないかな。だって、普通は詠唱とか魔法陣とかいろいろ準備が必要だし。だから、ロキースのその力は、すごいものだと思う」

 キラキラと尊敬の眼差しで見上げてくるエディに、ロキースの手からクワがすっぽ抜けそうになる。

 慌てて握り直したせいで力加減が出来ず、クワの柄は無残にも真っ二つになってしまった。
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