森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 つまるところ、ロキースが獣人になったのは、エディがルーシスに見初められたと勘違いしたからだった。

 成人するまで、と指を咥えて待っていたのに、大事な獲物を横取りされたのである。

 エディを取り返す。その為に、ロキースは予定を早めて獣人になった。

 エディとリディアが初めてロスティの大使館へ行った帰り道、馬車を追いかけてきた熊は、何を隠そうロキースである。

『あの悲しげな声が耳にこびりついて離れない。あれは、なんだったんだろう……?』

 エディは、そう言っていた。

 それを聞いた時、ロキースはやはりエディが運命の相手なのだと確信したのだ。

 だって、あの時のロキースの声は、今のように人語じゃなかった。「行かないで」と子熊のように鳴くことしか出来なかったのに、エディには伝わっていたのである。
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