森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 この勢いで、ロキースのことをもっと好きになれたら、万事順調なのにとも思う。

 自分を好いてくれている相手との子供を想像するなんて、どう考えたって友愛よりも限りなく恋に近い。いや、恋だろう。もしかしたら、愛かもしれない。

 だが、恋愛経験皆無の彼女に、それを知る術はなかった。

 これは、非常に勿体無い出来事であった。痛恨のミスである。

 目の前に居たジョージは、その瞬間一体なにをしていたのだと、後に魔獣保護団体所長のマリー・クララベルが彼を(なじ)ったほどである。「だが、ニューシャが……」と言い訳したジョージに、マリーは心底呆れたようなため息を吐いたのだけれど。

「ニューシャ」

 嗜めるようなジョージの声に、ニューシャと呼ばれた少女が首を竦める。
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