森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される

 エディにプイッと顔を背けられたロキースは、衝撃を受けてションボリとしていた。

 丸い耳はぺショリと伏せられ、蜂蜜色の目が悲しげにエディを見つめる。

「俺に抱っこされるのは、そんなに嫌か……?」

 熱くなった顔を冷やそうと躍起になっていたエディの耳に、ロキースの低い声が届く。

 慌てて顔を上げたエディは、見上げた先の情けない美形の顔に、やっちまったという表情を浮かべた。

「嫌ではないけれど……でも、人前でやることでは、ないような?」

 手のひらを頰に押し当てたまま、エディは言った。

 ロスティがどうかは知らないが、ディンビエではあまりそういったことはしない。

 少なくとも、兄夫婦は彼女の前でそのようなことをしたことはないし、両親だってそうだ。
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