森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
「──というわけで、ヴィリニュスの鍵は、現在、ロスティ側の魔の森の中を移動中なんです。ですから、鍵を奪還するために、僕が立ち入る許可を得たい。どうか、お願いします」

 エディの説明に、ジョージは「ふむ」と考え込むように顎に手を置く。

 理知的な眼鏡の奥で、意地悪そうな目がキランと輝いたのは見間違いだろうか。

(いや、見間違いなんかじゃない。きっと、何か言われるに決まってる!)

 アポ無し訪問の対価が公開抱っこなのだ。

 まだ数回しか会っていないが、彼の性格があまり良いとは言えないことは分かる。

(一体、何を対価に要求されるのだろう……)

 緊張に、喉が乾く。エディの喉が、ゴクリと鳴った。

 身構えるエディに、ジョージはククッと笑う。
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