森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
五章

「いやぁぁっ!」

 自分の叫び声で目覚めるなんて、最悪な昼である。

 エディは起きるなり、しげしげと自身の手を眺めた。

 傷だらけの手。いつもの手。悪夢でみた、血で真っ赤に染まる手はどこにもない。

「……っ、はぁ」

 ドキドキと胸が早鐘を打っている。

 首元を伝う嫌な汗を、寝巻きの袖で雑に拭う。

 こんな嫌な夢をみたのは、初めて魔獣を仕留めた時以来だった。

「ひどい、夢……」
< 222 / 390 >

この作品をシェア

pagetop