森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
「それにさ、おばあちゃんだって言っていたでしょう? トルトルニアの人々を守るのは、ヴィリニュス家の義務だって」

「そうだよ。だから、言っても仕方のないことなんだ」

 エディは悔しそうに唇を噛んだ。

 乾いた唇がチリリと痛んで血が滲む。口の中に広がる鉄の味に、エディは顔をしかめた。

「僕がどんなに罪の意識を感じたって、村に侵入してくる魔獣を仕留めないという選択肢はない。でも、ロキースに会えば、僕が魔獣を仕留めてきた事実を嫌でも思い出してしまうし、彼に触れられるのが怖いって身構えちゃうんだ。だってね、僕は嫌われたくない。いつも甘やかすみたいに優しく見つめてくれていた目が、僕を冷たく見下ろしてくることを考えるだけで、ここが凍りつきそうになる」

 そう言って、エディはケットの上から心臓の辺りを押さえた。
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