森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 もし、差し出した手を払い退けられたら?

「好きだ」「僕に恋をして」と訴えてくる蜂蜜色の目に、冷たく見下ろされたら?

 こんな気持ちになるのなら、好きになろうとしなければ良かったと思う。

(ううん。もう、手遅れ)

 行き場のない思いなら気付かなければ良かったと、エディは自分自身を責め立てた。

「今更、気付くなんて」

 独り言ちて、エディは苦く笑った。

 その時、エディの前に誰かが立ち、濡れたハンカチを差し出してきた。

 エディは呆けたようにハンカチを見て、それから目の前に立つ人物を確認するように、視線を上げる。

 そこには、リディアが立っていた。
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