森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
『エディ、今夜は帰したくない』

 そんな言葉が、喉まで出かかっていた。

 だが、ロキースの健気な我慢も知らず、エディは「へへ」と恥ずかしさを誤魔化すように笑う。

 ロキースの煩悩を抑える理性が、悲鳴をあげた。

 かわいい。かわいすぎる。こんなにかわいくて、どうしよう。どうやったら、嫁に出来る?

 これ以上エディを見つめていたらどうにかなってしまいそうで、ロキースは天を仰いだ。

 絡み合った枝の合間から、冬の弱々しく柔らかな陽ざしが差し込む。

 陽ざしに誘われるように腕の中を見下ろしたら、天使がいた。陽ざしを浴びたミルクティーブラウンの髪が、冷たい風に吹かれてフワフワと揺れる。

 もう限界だ。神様なんて信じていないけれど、いたらどうか助けて。この子を襲いそうなんです。

 ロキースはどこかにいるであろう神様に願った。信じていないけれど助けて、と。
< 263 / 390 >

この作品をシェア

pagetop