森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 当然、そんな不信心な男を助ける神などいやしない。

 気をそらすために、ロキースは頭を切り替えることにした。

 今はエディに魔獣のことを教える時間だと言い聞かせ、無理に真面目な表情を取り繕う。

「理性のある魔獣が、全て恋をするわけではない。獣人になることが大人の証ではあるが、運命の相手を見つけられず、魔獣のまま息絶えることがほとんどだ」

 世界中を旅しても運命の相手を見つけられず、魔の森へ帰ってくるものは多い。

 中には恋をしないという選択をして、望んで魔獣のままでいるものもいる。

「運命の相手を見つけることって、そんなに大変なことなの?」

「見つけられるかというより、(おのれ)の覚悟の問題だろう。消滅しても構わない、そう思えるくらいの気概がないと獣人にはなれない」
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