森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 少しだけ、座る位置を変えてみる。

 すると、エディはヒュッと息を飲んだ。

 呼吸するのを忘れてしまったように、エディは唇を引き結んでロキースを見つめてくる。

 まるで、獲物を見つめる猛禽類みたいだ。引き絞った弓のように、その目は決して、ロキースから離れない。

 ロキースが動いたら、彼女はどんな反応をするのだろうか。

 少しだけいじめてみたいという、意地悪な気持ちが湧いてくる。

 ロキースは、重ねていたエディの手を握る。

 親指でスリスリと撫ぜると、爛々(らんらん)としていたエディの目が、今度は潤み始めた。

「ロキース……?」
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