森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 抵抗することも忘れて魅入っていたら、今度はアグアグと甘噛みまでされる。

 指の根本に残る噛み跡が、まるで指輪のようだった。

 薬指じゃないのが残念に思えて、エディは無意識に薬指を差し出すようにロキースの口へ運ぶ。 

 カプリ。
 ロキースの綺麗に並んだ歯が、エディの薬指の付け根を噛む。

「あ……」

 エディの唇から、吐息混じりの声が漏れる。

 喘ぐようなその声に、ロキースは劣情を煽られているような気になった。

「エディ……」

 途端、ロキースから表情が消える。

 ゾクゾクするほど獰猛な目で見つめられて、エディはハッとなった。
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