森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 ルタは、中を見ただろうか。

 ポケットから出した手紙をしげしげと見つめても、彼女が見たかどうかは分からない。

「ミハウ、どうしよう……僕、ヴィリニュスの鍵を探しに行くつもりだったんだ」

「え、どういうこと? 鍵はおばあちゃんが持っているんじゃないの?」

「誰が持っているかは、分からない。けれど、ロキースのおかげで在り処は分かっている。ロスティ側の魔の森に、あるんだ。この手紙は、ヴィリニュスの鍵を取り戻すために取得した、ロスティの許可証なんだよ。僕は迂闊にもこの手紙を失くして……ついさっき、ルタさんが届けてくれた……もしかしたら、彼女に手紙を、読まれたかもしれない……」

 手紙を持つ手が、震える。

 どうしよう、どうしよう、どうしよう。

 エディの頭の中は、その言葉でいっぱいになった。
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