森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される

「こんにちは、ロキース」

 そう言って、思い詰めたような表情を浮かべて訪ねて来たエディに、ロキースは嫌な予感しかしなかった。

 もしかしたら、お別れを言いにきたのかもしれない。

 ロキースの脳裏を、そんな考えが過ぎる。

 逃げる時はただ恥ずかしがっていたように見えたけれど、冷静に考えてみたらロキースに幻滅したのかもしれない。

 我慢できずにエディに手を出してしまったことは、悪いと思っている。

 でも、ロキースだって男だ。

 好きな子に気のある素振りをされたら、舞い上がってしまう。

 いつものように菓子を皿に並べ始めても、エディはソファから立ち上がらない。

 膝の上に置いた手をギュッと握って、床を睨みつけていた。
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