森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 それから、どれくらいそうしていただろうか。

 根気強くエディの話を聞き続けた結果、ロキースにもなんとなく事態が飲み込めた。

 彼女が言うには、こうである。

 ヴィリニュスの鍵というのは、鍵の役目だけでなく魔笛の一部という側面もあった。

 魔笛というのは魔獣を意のままに操ることが出来る笛なのだそうだ。

 それを使われたらロキースが操られ、その結果、獣人との恋に憧れる彼女の義姉、ルタのものになってしまうかもしれない──らしい。

 そんな馬鹿な、とロキースは思った。

 くだらない笛如きで、自分の気持ちが変わるわけがない。

 だが、そのせいでエディは泣いているのだ。

 馬鹿げたことだと、一蹴することがロキースには出来なかった。
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