森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 彼女が近くにいる。

 それだけで、心が躍った。

 なのに、お茶を出しただけで柔らかな笑みを浮かべてくれて、それだけでも嬉しいのに、更に「ありがとう」なんて言ってくれるから、ついつい舞い上がって、話の途中だというのに執拗に茶を飲むよう勧めてしまったのだ。

 懐かしい。

 そう昔のことでもないのに、ロキースはそう思った。

 懐かしいと思うのはきっと、今のロキースとエディの距離が変わったからだろう。

 最初は「お付き合いする前の男女には適正な距離が」なんて言っていたエディも、抱っこしたり唇以外にキスをしたりしても注意しなくなった。

 もっとも、欲望が抑えきれずに指を食んでしまった時は、さすがに逃げ出されたのだけれど。
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