森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
「ごめん。無理だよね。僕、帰る」

 エディはロキースの間を拒否とみなしたようだ。

 顔を俯けたまま、寂しげに「バイバイ」と背を向けるエディ。

 その姿を見て、ロキースは心底後悔した。

 抱きしめて甘やかすと決めていたのに。どうして、それが出来ないのだ、と。

 帰すと決めたくせに、逃げるように足早に扉へ向かうエディの腕を、ロキースは掴んだ。

「エディ。どうして、泊まりたいのだ?」

「……家に、帰りたくない。帰ったらきっと、ルタさんは僕に言ってくる。ロキースをちょうだいって。ロキースを渡す気なんてないけれど、彼女は美人だし、僕はこんなチンチクリンだから……心配に、なる。僕がここに居れば、少なくともルタさんに会うことはないし、万が一彼女がやって来ても、僕がロキースを引き離せるかなって、そう、思って……うぅぅぅ。ごめん、ただの独占欲。だから、ロキースは気にしないで。じゃあ、僕、帰るから。手、離して?」
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