森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
七章

 結局、ロキースは悶々とした夜を過ごした。

 好きな女と一緒にベッドで寝ているのに、ただ抱きしめているだけなんて。拷問である。

「ロキース。朝だよ、起きて?」

 明け方にようやく意識が混濁してきて、気絶するように眠りに落ちたロキースは、エディの可愛らしい声で目を覚ました。

 寝ぼけ眼で欠伸をすれば、「大きな欠伸!」とエディが笑う。

 無邪気に笑う彼女が愛おしくて、そして少しだけずるいと思った。

 だってロキースは、悶々とした夜をただ静かにすることだけに注力して過ごしていたのに、エディときたら安心しきった顔でスピョスピョと寝ていたのだ。

 ちょっとくらい。
 ほんの少しの悪戯心。

 クスクスと笑うエディをベッドに引っ張り上げて、まろい額におはようのキスを贈る。
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