森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
「魔獣が襲ってくるかもしれない。基本的に俺がなんとかするつもりだが、もしもということも考えられる。だから、これを持っていてくれ」

 そう言って渡されたのは、エディが愛用している弓矢と同じものだった。

 矢のサイズは通常、使用者の体格に合わせて作る。左の指先から、右の肩まで。矢をあててみたら、驚くことにぴったりサイズだった。

「うわ、ぴったり」

「大丈夫そうか?」

「うん、問題ない」

「そうか」

 満足げに頷いたロキースを先頭に、ヴィリニュスの鍵を取り戻すための冒険は始まった。

 ロキースの縄張りを出ると、周囲の気温がグッと下がる。

 縄張りの中はいつも春のように暖かかったから、エディはブルリと体を震わせた。
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