森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 地熱を調整していると言っていたから、それがなくなったのだろう。

 持っていたロングケープを纏い、エディはロキースのあとに続いた。

 縄張りを出た魔の森は、冬の様相である。

 葉のなくなった枝は、まるで皺だらけの老人の手のよう。冬独特のグレーがかった空を隠そうとしているように、伸びていた。

 言葉少なに、ロキースは魔の森を歩く。

 その手にはしっかりと、エディの手が握られていた。

 魔の森は、奥へ行けば行くほど魔素が濃くなる。

 視界が悪くなるのと同時に、濃い魔素が人の精神に干渉して、魔力耐性のない者を惑わせるのだ。
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