森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される

 エディの災難は、終わったかのように思えた。

 だが、そうはいかなかったようだ。

 ロスティの大使館で対面した獣人のルーシスがリディアを離そうとしなかったので、ジョージの提案でルーシスが二人をトルトルニアまで送ることになった。

「リディア。君はなんて可愛らしいのだろう。その可憐な(かんばせ)で、俺に笑いかけてはもらえないだろうか?」

「ルーシスさん……」

 リディアの手を握り懇願するルーシスを、エディは引き気味で見ていた。

 トルトルニアでは、自分の気持ちを素直に話すことはあまりない。特に男性は、言葉よりも態度で示すものだと言われている。

 だから、歯が浮くような甘ったるい言葉は、耳慣れないのだ。
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