森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
「あいつか……」

 鍵の気配は狼から、厳密に言えば、狼の腹から漂ってきている。

 警戒を強めて睨みつけるように見ていると、狼の方もロキースに気がついたようだった。

 ロキースを見ると、挨拶をするようにペコリと頭を下げてくる。

 それから、狼はロキースの後ろの方も見た。

 ロキースの後ろには、エディが待機している。

 もしや襲うつもりかと身構えるロキースに、しかし、狼は少し前へ進んでは振り返るという行為を繰り返すだけだった。

 どうやら、どこかへ案内したいらしい。

 狼の意図は分からないが、少なくともすぐに何かするわけではないようだ。

 これならとりあえずは大丈夫だろうと、ロキースは踵を返し、エディを呼びに行った。

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