森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される

 どれくらい、そうしていただろうか。

 赤く染まっていた空は、いつの間にか藍色に染まり始めていた。

 スンスンと鼻をすするエディの背を、ロキースの大きくて温かな手がゆったりと撫でてくれる。

『話が、ある』

 涙のあとが消えたのを見計らうように、ヴィリカスはそう言った。

『エマの、ことだ』

 フサフサの尻尾を悲しげにダランとさせて、ヴィリカスはエマの墓を見つめる。

 その目は、あの日を思い出すように遠いところを見ているようだった。

(うぬ)がエマを見つけた時、彼女は既に瀕死の状態だった。命の灯火はすでに、消える寸前だったのだ』
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