森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 だが、しかし。

 二人が暮らすトルトルニアという村は、魔の森に近い場所にある。魔獣は狩るものであり、獣人の存在なんて一切聞いたことがないのだ。

 普通に連れて行って「リディアに惚れた魔獣が獣人になって口説きに来たよ」なんて言ったって、おでこの熱を測られたりするに違いない。

「でも、両思いになれば、耳も尻尾もなくなるのよ? 大丈夫なんじゃないかしら」

「リディアは楽観的すぎるよ」

「エディは考えすぎなのよ」

 カラカラと朗らかに笑うリディアに、毒気も抜ける。

 エディは幼馴染だからこそ、よく分かる。

 彼女はこのチャンスに賭けるつもりなのだ、と。

(それなら、僕がすることはただ一つ。リディアとルーシスの恋を応援することだけだ)

 恋なんてしたことがないから応援のやり方も分からないけれど。姉と慕うリディアのためなら、苦手なロスティの人と協力してみようとエディは決めた。
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