森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される

 ヴィリニュスの屋敷の最上階、屋根裏部屋と思しき場所にある丸い窓から、ミハウの顔がヒョコリと覗く。

 その顔はどこか必死で、どうやら力一杯窓を叩いているようだ。

 ロキースが耳を澄ませると、ミハウの声が微かに聞こえる。それから、こんな時でも冷静なエグレの声も。

『鍵、取り戻したんでしょ! 僕が壊すから、ここまで持ってきて!』

『魔笛はルタ様がお持ちのようです。屋敷を通ってここへ来るのは少々危ういかと。お嬢様なら、得意の弓技でここまで飛ばせるのでは?』

 ロキースはなるほど、と頷いた。

 確かに、エディほどの腕前であれば、彼らがいるところまで鍵を飛ばせるだろう。
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