森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
「あぁぁぁぁ! は、離せぇぇ!」

 なんとも情けない父の声を聞きながら、エディは背負っていた弓矢を取り出した。

 矢筒から矢を取り出し、予備に持っていた弦で鍵を縛り付ける。

「おい、お前! 一体何をしている!」

 離れたところで傍観していたマルゴーリスが、ここでようやくエディがしようとしていることに気がついた。

 だが、もう遅い。

 あっという間に弓に矢をつがえたエディは、真っ直ぐ丸窓を見据えている。

 いち、に、さん、よん……狙いを定めて、矢を放つ。

 エディの放った矢は、まっすぐ天に向かって飛んでいく。

 いけるところまで上がっていって、それから緩やかに弧を描いて落ちて──丸窓の中へ吸い込まれるように入っていった。

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