森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 ガタガタと荒々しく、馬車はトルトルニアへ続く道を行く。

 行きの馬車の御者は、出来る男だったようだ。行きとは比べものにならない酷い道のりになりそうだと、エディは不満げな顔で座席に座り直した。

 一刻も早くリディアのそばに行きたいのか、ルーシスの運転は荒い。

 そうでなくとも道が悪いのに遠慮なくスピードを上げるものだから、馬車は余計に揺れた。

(そのうち、舌を噛みそう)

 文句の代わりに御者台側の壁をノックしようとした、その時だった。

 聞いたことがないような切羽詰まった馬の(いなな)きが響き、揺れがさらに激しくなる。
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