森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
「よく分からないが、熊を怒らせたみたいだ。走り抜けるから、耐えてくれ!」

「ええっ⁉︎」

 ルーシスは叫ぶと、すぐに馬たちへ指示を飛ばした。

 突然の熊の出現に怯えていた馬たちは、彼の声に少し落ち着いたようだ。荒れ狂うような嘶きが鎮まる。

 馬の統率が取れるようになったおかげで、馬車の揺れが和らいだ。

「熊って……」

「熊が草原地帯に出没するなんて、珍しいわね?」

「そうだよ。熊は大体、魔の森の周辺にしかいない。こんな原っぱにいるなんて珍しい。というか、異常だよ」
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