森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 ゆっくりと窓の外を覗いたエディは、息を飲んだ。

 ルーシスが言うように、そこには大型の茶熊がドッシドッシと馬車の横を並走していたのだ。

「グオォォォ!」

 その目は明らかに怒りの感情が満ちていて、我を忘れているようである。血走った目は、ルーシスしか見えていないかのようだった。

「あの人、何をしたんだ⁈」

 獣人は獣に嫌われる生き物なのか。それとも、彼がリディアのそばにいられない腹いせに何かしちゃったのか。

 よくは分からないが、少なくともエディやリディアが原因でないことは確かだ。

 エディが呟くと、ルーシスを睨んでいた熊がギュルリと顔を向けてきた。

 馬車の中にいたエディの小さな声に、気付いたらしい。
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