森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 あれほど嬉しそうに勧めてきたのに、熊の獣人はエディを見向きもしない。

(美味しいですって言ってあげたいんだけどな……)

 きっと、獣人になって間もないのだろう。

 慣れない手つきは、まるで子供の手伝いのようだった。

(こっち、見ないかな……?)

 熊の獣人の形の良い唇は「怖い……怖いか……」と呟いている。

 小さな声だが、その音の低さにエディは驚いた。

 トルトルニアの男性はみな背が低く、反比例するように声も高い。ズンと腹に響くような音は、初めて聞くものだった。

「こちらも色々と不手際があったようです」

 夢中になって、熊の獣人を観察していたらしい。

 ジョージの声に、エディは慌ててティーカップをテーブルへ置いた。
< 46 / 390 >

この作品をシェア

pagetop