森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
「顔を上げてください。ロスティとしても、あなたを処罰するつもりなんて微塵もない。リディアさんも然りです」

「本当ですか⁉︎ 良かったぁ……」

 エディはパッと顔を上げた。

 安堵した緩んだ笑みを浮かべたその顔は、少年というより少女のような柔らかさがある。

 ああ、この子は女の子なのだ。

 ジョージはその笑顔を見て、唐突に理解した。

 斜め後ろで、バキィと恐ろしげな音が聞こえたが、彼は聞かなかったことにした。

 少女の笑み一つで高価なトレーが一枚犠牲になるくらい、なんだというのか。

 これでロスティ国の戦力が一つ増えると考えれば、安いものである。

 それでも、トレーの価格を考えればそのまま放っておくのも微妙なところで、ジョージはチラリと鋭い視線を熊の獣人へと向けた。
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