森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 見つめ合う若者二人に、ジョージはこっそり拳を握った。

 よし、そうだ。そこで、紳士的に自己紹介をしろ。

 そんな声が、聞こえてきそうな雰囲気である。

 だがジョージの願いも虚しく、ロキースは朴念仁であったようだ。

「……」

 ジョージは見守った。

「……」

 持ちうるすべての忍耐力を使って、待った。

「……」

 ティーカップを持って、お茶を一口飲んで、それからティーカップをテーブルに置く。この動作を、三回は繰り返したと思う。
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