森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 エマとの優しい時間が、エディは大好きだった。
 今だって、大好きだ。

(もう五年も経ってしまったけれど、会えたら、また肩を並べてお話ししたい)

 優しい思い出と一緒に、村人の心無い一言も頭を(よぎ)る。

「ヴィリニュスのばあちゃん、結構な歳だったし、耄碌(もうろく)して魔の森に入って食われちまったんじゃねぇか?」

 エマは確かに高齢ではあったけれど、足腰はしっかりしていたし、弓の腕前だって一族で一番だった。

(耄碌なんて、するはずがない。おばあちゃんは、きっと何かに巻き込まれたんだ)

 だけど、当時十歳の少女でしか無かったエディには、何も出来なかった。

 心無い一言に、反論することも出来なかったのだ。
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