森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 魔獣の恋は盲目的だから、どんなにエディがそう思ったところで、何も変わらない。

 魔獣の恋は一生に一度だけ。これと決めた人のために、獣人へと変化する。

 知っているけれど、それでも、彼女は思わずにはいられない。

(だって僕は、ちっとも女らしくない)

 そう思うと途端に、皮が厚くなった手がみすぼらしく見えた。

 まるで、金メダルだと思っていたものが、実は金メッキだったような気分である。

 エディは知らず、親指を隠すように拳を握った。

 そんなエディの小さな拳を、ロキースの大きな手がそっと包み込んだ。

 咄嗟に手を引っ込めようとしたエディだったが、まるで捨てられた子犬のような淡黄色の目に見つめられて、「うぐ」と小さな呻きと共に固まる。
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