森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
「俺の名前は、ロキース、だ」

「……ロキースさん?」

「ああ。それで……俺は、熊の獣人だ」

 そこまで言って、ロキースは眉間に皺を寄せて「んん……」と唸った。

 どうやら、それ以上何を言うべきなのか困ってしまったらしい。

 彼の話し方はぎこちない。

 魔獣から獣人になったばかりだからというよりは、もともとあまり喋るタイプではないのだろう。言葉少なに、それでも一生懸命伝えようと努力してくれている。

 迫力ある美形が困った顔をしていると、近寄り難さが少しだけ和らいだ。

 どうにも放っておけなくて、エディは「仕方ないなぁ」と苦笑いを浮かべた。
< 71 / 390 >

この作品をシェア

pagetop