森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
「こんにちは、ロキースさん。僕の名前は、エディタ・ヴィリニュス。エディタは恥ずかしいから、エディって呼んで。ずっと見ていたなら分かっているだろうけど、こう見えて女。特技は、弓。実は、一族でも一番か二番の腕前なんだ」

 エッヘンと胸を張ってみせると、ロキースは眩しいものを見るように目を細めた。

 それから、エディの手を包み込んでいた手を広げて、改めて小さな拳を見つめる。

 女の子とは思えない、傷だらけの手だ。特に親指の付け根は何度も肉刺(まめ)を作っては破いてを繰り返したらしく、皮膚が硬くなっている。

 ロキースは知っている。

 ある時期から、彼女が血の滲むような努力をしてきたことを。

 だって、ずっとずっと見てきた。

 この手は、彼女の勲章なのだ。
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