森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 エディはまさか彼女がロキースのことを知っているとは思わなかったので、弾かれたように魔の森から彼女へ視線を向けた。

 赤い唇を、舌がチロリと舐める。まるで、獲物を前にした肉食獣みたいな仕草だ。

 人妻とは思えない妖艶な仕草に、エディは眉間に皺を寄せる。

(気のせい、だよね? まさかねえさんが、ロキースを好きになるなんてこと、あるわけないんだから)

 そう思いながらも、まさかという疑念が浮かぶ。

 だって、ロキースはとても素敵な男性なのだ。

 ふわふわの髪も、垂れ気味の目も、包容力のありそうな大きな体も、どこもかしこもエディなんかには勿体ない。

 それに対して、目の前のルタは、スタイルも顔も家柄だって素晴らしい。

 ルタがロキースの隣に立つ光景を思い浮かべて、エディは苦い気持ちになった。
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